原発関連:ヨウ素に関する食品情報
原発周辺にお住まいで、避難することが難しい妊婦さん、小さいお子さんをお持ちの方の参考になればと思います。
武田先生のブログで「ヨウ素を含んだ食事」という記事を拝読しました。多くの方が心配され、質問されたのだと察します。大学で医学研究をしている管理栄養士の妻に執筆を依頼しました。
気休めにしかならないかもしれませんが、専門知識を活かし、「ヨウ素を含んだ食事」について、できるかぎりの情報を提供したいと思います。既に食品が汚染されていることも考えられますので、その点においては注意が必要です。
ヨウ素は栄養計算されないため、栄養計算のもとになる栄養成分表には掲載されていません。国が調べていないのです。しかしながら参考になる論文がありますので、それも含めてご紹介したいと思います。
ヨウ素は、ヒトの生体にとって必須の元素のひとつとされ、甲状腺ホルモンをつくる構成要素として重要です。
甲状腺ホルモンとは、成長発達や知的発育に大きく関与するホルモンです。甲状腺ホルモンが不足すると、甲状腺機能低下症、甲状腺腫(甲状腺のガン)、クレチン病、脳細胞へのダメージによる精神発達の遅延を引き起こすと考えられています。
日本は海に囲まれた国であり、他の国よりヨウ素を多く含む海藻類や魚介類という海産物を多く摂取するためヨウ素の欠乏により起きる上記に挙げたような甲状腺疾患の報告はありません。逆に、ヨウ素の過剰摂取により甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺炎、甲状腺腫などの甲状腺疾患が起こることもあります。
このようにヨウ素は、あまり注目されない栄養素でありながらヒトの生体でとても重要な役割をしています。
今回問題となっている福島原発での放射能漏れにおいては、放射性ヨウ素が漏れたと連日放送されています。過去に起きたチェルノブイリ原発事故においても同じように放射性ヨウ素が放出されました。
そのことにより、チェルノブイリ原発汚染地域では、子どもの甲状腺腫が多発しました。普通、5歳未満の子どもが甲状腺腫になることはほぼないと言われていますが、チェルノブイリでは、約5000人の子どもが甲状腺腫を発症してしまいました。
最も大きな要因として考えられることは、ヨウ素は甲状腺に選択的に蓄積されるため、放射性ヨウ素を吸入したことにより、身体に取り込まれ放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積され、放射線の内部被ばくによる甲状腺がん等を引き起こしたということです。
また、甲状腺腫の多発の原因として安定ヨウ素(放射線に汚染されていないヨウ素)の摂取不足が挙げられています。安定ヨウ素を予防的に服用することで、甲状腺に放射性ヨウ素が集積することを防ぐことができるため、甲状腺への放射線被ばくを低減する効果が期待されます。
慶応大学の菊池らの研究に、日本人がよく摂取する食品のヨウ素含有量を測定した研究があります。その研究によると、海藻類、特にこんぶ、こんぶを使用しただし、和風調味料、ヨード卵等に多く含まれるという結果です。
食品に含まれるヨウ素は、調理中に汁に移行したり損失するするため、調理方法によってもヨウ素の摂取量は大きく異なってきます。そのため、例えばこんぶを食べるとすると、こんぶそのものも含め、こんぶの粉末、こんぶ茶、こんぶで取ったダシなどがヨウ素濃度も高く、とても効率よくヨウ素を摂取できると考えられます。
【参考】
| 食品名 | ヨウ素mg/100g |
| 青のり(素干し) | 26.1 |
| 焼のり | 1.19 |
| こんぶ(素干し) | 225 |
| ひじき | 46.2~53.8 |
| 乾燥わかめ(素干し) | 4.11 |
| 卵(生) | 1.09~2 |
| 顆粒風味調味料 | 1.91~10.5 |
| ドレッシングタイプ和風調味料 | 5.75 |
| 即席みそ(ペーストタイプ) | 0.18~1.37 |
| 栄養補助食品(錠剤・マルチビタミン) | 0~4.87 |
出典:日本で市販されている食品中のヨウ素含有量 菊池有利子 武林亨 佐々木敏 日衛誌63, 724-734(2008)
放射性ヨウ素の摂取による最大の健康被害は、これまでにも説明してきたように甲状腺腫です。その予防として重要と思われるヨウ素摂取について説明してきました。それ以外に甲状腺腫を予防するには、やはり自分自身のもつ免疫力をアップさせることが重要になってきます。
免疫力とは、白血球、マクロファージ、NK細胞という細胞が協力し合って、体内に入った細菌やウィルス、また体内で発生したガン細胞などの異物をやっつけ、身を守ろうとする力です。免疫力を高めると、免疫システムが体内にあるガン細胞を感知・攻撃し、ガン細胞の分裂・増殖を防いでくれます。
免疫を高めるために大切なことは、白血球などの細胞を元気に働けるように細胞の酸化を防ぐことです。そのためにも、規則正しい生活を行ない、規則正しい食生活を送ることに尽きます。そこで、食生活で特に免疫力を高める食材を簡単に4個挙げたいと思います。
1.しょうが・・・しょうがの辛み成分であるジンゲロールは消化器系の機能促進・血行促進などの効果があり、体内抵抗力が高まります。血行を良くし、体温を上げることも免疫力を高めるのに効果があるので、とうがらしなども効果的です。
2.緑茶・・・緑茶に含まれるカテキンがガン予防に効果があるという研究結果があります。
3.トマト・・・トマトに含まれるリコピンには、カロテンの2倍、ビタミンEの100倍の抗酸化力あるといわれていて、細胞に元気に働いてもらうためにも欠かせません。トマトに限らず、野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、少なからず抗酸化力を高めるのに効果的です。
4.キノコ類・・・キノコ類に含まれているエルゴチオネインという抗酸化能力を持ったアミノ酸に抵抗力を高める効果があります。